2018年、急激に話題となった『デーモンコア』の図。2018年末に『いらすとや』さんの最後のお仕事が『デーモンコアの図』であったことから、世間を震撼させました。
これだけ話題になっておきながら、そもそも何をしてる図なのか・ご存知でしょうか?
ネットでよく見かける画像は、『金属の半球』に『ドライバーのようなものを刺している』構図ですよね。現場猫のイラストでは『青い光』も発しています。
ガチる必要はなくて『少しだけ詳しく知ってみたい』という、ライト勢むけにザックリと解説させて頂きます。ガチ勢の方は何卒イロイロとご了承ください。
有名な図の意味は?
✅ 持っている半球(ボウル)は何?
ベリリウムという金属の半球の中に『高純度のプルトニウム(原子爆弾の材料)6.2kgの球』が入っています。とんでもない危険物です。
✅ 下にある半球は、何?
下にある台座にも、同様の半球が埋められている(と思われる)。
✅ マイナスドライバーで何をしてるの?
下に置いてある『半球のベリリウム』に、マイナスドライバーをあやつって上から、『半球のベリリウム』を近づけることにより‥
『どの程度、近づければ<臨界状態>に達するのか?』、距離と放射線量を測定する実験を行っています。
✅ そもそも『デーモンコア』とは何ぞ?
『デーモンコア』とは、実験用につくられた『プルトニウムの塊(かたまり)』のこと(くどいようですが、それがベリリウムの半球の中に入っています)。
✅ 事故を起こしてしまった人は?
カナダ出身の物理学者ルイス・スローティン博士(35)。
注釈:デーモンコアのwikiでは半球のことを『ベリリウム』の名称で統一している。『デーモンコア』という言い方もありますが、この話の中では『ベリリウム=デーモンコア』です。
✅ 時代背景は?
デーモンコア事故が発生したのは1946年5月21日‥長崎に原爆が落とされ・日本の終戦の翌年。
当時は『核兵器の開発』が盛んに行われていました。
なぜギャグになったのか?
『事故の再現写真』では、重大な実験のハズなのに普段着で気楽に作業しているようすなので、そこがギャグ要素になっているようですね。
なんでこんなフランクに再現撮影しているのか‥
ところが、
YouTubeに転がっている『事故の再現映画』を見てみたところ‥実験者は、
- 一応・白衣を着て、
- 鉛(なまり‥放射線除け)?の壁に隠れながら
ドライバーを操作していたようです。
ただ、
- 素手であること
- 『防護服』は着ていなかったこと
‥は確かなようです。
どれだけヤバい実験なのか?
ミスって『挟んでいたドライバー』が外れてしまうと、半球同士がくっつき、球体となります。
球体になることにより、即座にデーモン・コアは『臨界状態』になり『青い光(後に説明)』が放たれました。
『ドライバー操作をしていた本人』は、『青い光』を発しているベリリウムをとっさに左手(素手)で、外しました(1秒間の被ばく)。(青い光を視認したときの彼の絶望を考えると、いたたまれません。スローティンのwikiによると “ 口の中に酸味を感じ、左手に強い火傷の感覚を感じた ” )
その後すぐに、現場に居た人間すべてにチョークが渡され、全員の『立ち位置』が床に書き込まれました。デーモンコアからの距離により、被ばく量を計算するためでしょう。(のちの研究データのため?‥本人の生存確率を推定するため?)
実験者はどうなったのか?
結局、実験者のスローティン博士はわずか1秒の間に致死量(21シーベルト)の中性子線とガンマ線を浴び、『放射線障害』のために9日後に死亡してしまいました。
ほかの研究員は、どうなったのか?
7人の目撃者のうち、2人は急性放射線障害にかかったが、回復した。数年後、目撃者の3人とダリアンの事故の際に現場近くにいた警備員が放射線によるものとして知られる症状で亡くなった。
wikiによると、スローティンが他の実験者をかばって放射線を一身に受けたため、事故が大きく広がらずに済んだようです(それが結果論なのか不明ですが)
有名な物理学者リチャード・ファインマンは、すでにこの事故を予見しており『(マイナスドライバーで操作するようなお粗末な実験は)ドラゴンの尻尾をくすぐるようなものだ』と批判していました。
他のほとんどの研究者も、デーモンコア実験への参加を拒否したほどに当時としても悪名高いものでした。
『デーモンコア事故』は、ぱっと見は危険そうではありませんが、じつはものすごく危険な行為の象徴として、実験者の間で語りつがれています。
『青い光』は何なのか?
臨界事故で目撃される『青い光』。
『青い光』とは何ぞ?と断定するのは、じつは難しいようです。
水中で見えている『チェレンコフ光』チェレンコフ放射(wiki)
(マメ知識程度:掲示板などで言われている『青い光』は『チェレンコフ光』と言われていますが、空気中で見える『青い光』はチェレンコフ光ではないそうです。水中で見えるのはチェレンコフ光とのこと。)
✅ 後日、記事を追加しました❗
【⚡青い光】デーコンコアのイラスト間違い探し、分かる?【⚡チェレンコフ光って?】
『青い光』は目をつむっていても見えると言われています。目の水晶体に『放射線が通過する』と見えるのだそうです。
後日記:主人の同僚で『コッチ系を専攻』をしていた方に伺うと『水晶体を通過時に見える』‥というのは都市伝説レベルの不確かさなのだそうです。確証は無い、のだそうです。
総括
デーモンコア事故が起きた当時は『安全性』よりも『核兵器の開発』が重視されていました。その危険性は分かっていたが、開発スピードを焦っていたために、事故は起きてしまった。
『大昔の放射線をナメていた事故』と思いきや。
その事故から53年後の1999年。
東海村JCO臨界事故で、作業者のずさんな対応(※)のせいで被ばくにより二人亡くなるという事故が起きてしまいました。(※会社作成の裏マニュアルのせいとも言われています)
▼ものづくりが生業の主人からの締めくくり
事故を起こしたら
- 今まで積み上げた実績が一瞬にして消失してしまう
- その作業の復旧のために多大な『労力+コスト+時間』がかかってしまう。
そうなれば『効率』も何もあったもんじゃありません。
その意識を『現場の作業者』だけではなく、管理者(上層部)が持ち、現場へ『安全重視』を徹底的に実施させるべきです。何回も繰り返される原発事故に対して、私たちも思うところを持つべきでしょう。
‥最後はマジメな話になってしまいました😅
『デーモンコア』のお話は以上です。
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【⚡青い光】デーコンコアのイラスト間違い探し、分かる?【⚡チェレンコフ光って?】
現場猫のチェレンコフ光が出てる図、じつは間違い⁉ 読めば判明❗
余談:
主人が、もっとファインマンの話を書くべきだというのですが‥ファインマン博士の話を書くとキャラが強すぎて話がブレちゃうので書けません‥(笑) ちなみにこんな感じ▼
『デーモン・コアを素手で触ったファインマンによると、崩壊熱による「放射能の暖かみ」があるとのこと。』
(‥ファインマン博士、ツッコミどころが多すぎて‥)