前回から引き続き、フジリューver.銀河英雄伝説第22巻のあらすじ感想してまいります。
#185 皇帝ラインハルト(略) 首都星オーディン キュンメル事件
立派な邸宅で、一人の青年が病床にある。
彼はハインリッヒ・フォン・キュンメル男爵。
生まれつきの障害があり、自由に行動できない。
ヒルダの従弟にあたる存在で、
ヒルダが定期的に散歩に連れ出しているとのこと。
たまたまヒルダが高速で車椅子を押す姿を見かけたラインハルトは『相もかわらず少年のように活発だな…😰』と引いている。オーベルは動じず。さすがである。
車を停車させ、ヒルダに声をかけるラインハルト。
突如・光臨したラインハルトにギョッとするヒルダ&キュンメル男爵。
ヒルダは『従弟が陛下を尊敬している』と紹介すると、ラインハルトは気をよくしたようで…
ライン:『後日・卿のところに訪ねて行っても良いか😃?』
この言葉にオーベルはすかさず『即位後はじめての臣民の自宅へ訪問するからには、重臣であるべき…😑(早口)』と進言する。
そう言われ、ラインハルトは昔の慣習を踏襲せねばならないのか…ならばあえて破ってやる!と反抗しようとしたが、
ライン:『いや、やはりだめだ。予は卿を政治に利用したくはない。残念だが当面・訪問は控えよう』
するとキュンメル男爵は珍しく大声で懇願する。
キュン:『どうかお越しお願いします!どうか…‼️』
💡その晩、キュンメル邸・寝所にて
体調に似合わず無理に大声を張り上げたせいで、ベッドで辛そうにむせるキュンメル男爵。
それでも『憧れのラインハルト』が訪ねてくれる嬉しさを噛み締めている。
…が、気がつくと、
キュンメル男爵は複数の地球教徒に取り囲まれていた(怖すぎる)
💡おそらく翌日。
かなり苦しそうなキュンメル男爵がベッドに横たわっている。
ヒルダが付き添っていると、メックリンガーが訪問してきた。
キュンメル男爵は最後の当主であり『亡き後は所蔵品など財産を国に寄付したい』とのことで、メックリンガーが査定に来たのだそうな(上級大将がそんなことまで…😅)
メックリンガーにふとした疑問が浮かぶ。『男爵は愛玩動物を飼っていないのか?』と。ヒルダはこの言葉に不安を感じる…
💡地球教徒が寝所に忍び込んだ夜のこと。
地球教徒たちはキュンメル男爵を憐れむ言葉をかけ、
『このまま消えるぐらいならば、生きた証を残せ』と囁く。(←いや囁いているレベルか?)
そして地球教徒達は『魔法の小箱』をキュンメル男爵に授ける。
『この箱を使えば、みんながおまえの存在を忘れなくなる』
希望を見出したかのように、
小箱に手を伸ばすキュンメル男爵…
#185 キュンメル事件|後編
💡2日後の7月6日キュンメル邸
『随行者が16人なんて少なすぎる‼️(本来は100人)』と従者に怒られながらラインハルトはキュンメル邸に到着した。
門の前では、辛そうなキュンメル男爵が息絶え絶えにラインハルトを出迎えた。
💡キュンメル邸中庭にて
昼食の準備がされているという中庭に踏み込もうとした時、ラインハルトは何かを感じ取っていた。
💡首都防衛司令本部にて
『憲兵総監』『首都防衛司令総監』を兼任するケスラー上級大将の元に、『最も会う価値のない男』トリューニヒトが現れた。
最も会う価値がない男、トリューニヒトはとんでもないことを告げる。
『地球卿が皇帝を暗殺しようとしております』
思わず立ち上がるケスラー。
トリューニヒトは『情報提供の見返りに地位をくれ』と要求するが、ケスラーは『んなことはあと回し!』と怒鳴りつけ、情報を聞き出しキュンメル男爵の元へ急行する(随行者との通信はしっかり切断されていた)。
💡キュンメル邸中庭にて
キュンメル男爵は中庭の説明を始める。
『実はここの下は地下室になっています』
『…この会食が始まる前、憲兵の方々に見つからぬよう超小型ゼッフル粒子発生装置を作動させておいたのです』
キュン:『このスイッチを押せば直径100mにおよぶ大爆発を起こすでしょう』
会食の参加者全員に緊張が走り、随行者達が立ちあがろうとすると、キュンメル男爵は『スイッチ』に指をかけて見せる。
一番驚いているのはヒルダ。
『ハインリッヒ…あなたは…』
キュン:『姉さんを巻き込むのは本意ではなかった…陛下、感想はいかがです?』
さすがのラインハルトも、深刻な状況に表情が硬い。
ライン:『ここで卿のために殺されるなら予の命数もそれまでだ』
『惜しむべき何者もない。卿が予を殺す理由も、今さら知ってもはじまらぬ』
あまりにも潔いラインハルトに、キュンメル男爵は不服だったのかもしれない。
(藤崎先生はあえて男爵の表情を淡々と描き、男爵を貶めるような表現をしていなかったのが印象的)
ヒルダがキュンメルにスイッチを渡すように説得するが、キュンメルは応じない。
男爵は今この瞬間に『憧れていたラインハルトの命』が自分の手の中にあることに幸せを感じ、噛み締めている。
💡キュンメル邸のすぐそばでは
ケスラーが憲兵を率いて全力ダッシュで向かっていた。
激おこのケスラーはついでに地球教団支部も強襲してしまうという。
キュンメル邸を裸足の武装憲兵(物音を立てないために)が取り囲み始めていた。
テーブルについていた随行員たちも味方がすぐそばで配置を開始し、あと少しで完了する…と肌で感じていたのだそうな(さすが帝国軍人である)
💡キュンメル邸中庭にて
キュンメルは、ラインハルトが無意識に『首から下げているロケット』を触っていることに気がついてしまう。
『皇帝陛下そのペンダント…よほど貴重なもののようですね』
『どうか私にも見せて…できればさわらせていただけませんか』
ラインハルト:『断る(即答)』
キュン:『私は見たいのです』
ライン:『卿には関係ないものだ』
随員:『お見せなさい陛下!』
キュン:『お渡しなさい陛下』
ライン:『いやだ』
自分の手の中にあるはずのラインハルトがキッパリと歯向かったことで、キュンメル男爵は激昂してラインハルトに飛びかかった。
※飛びかかりつつも、こんな状況でもキュンメル男爵はボタンを押すのを惜しんでいる
ラインハルトは毅然と、キュンメル男爵を平手で払い飛ばした。
その手からスイッチがこぼれ落ちたのを確認した随行員達は、一斉に倒れているキュンメル男爵を取り押さえる。
ヒルダがやめて!!と懇願すると、
随行員達が我にかえりキュンメル男爵から離れる。
ヒルダは瀕死のキュンメル男爵を抱き抱え…
『あなたはばかだ…』と泣くヒルダに、
男爵は『どんな悪いことでも…ばかなことでもよかった』
『ぼくの病気はすぐに忘れられても…愚かさは幾人かが記憶していてくれるだろう』
💡その後の顛末
解剖の結果、キュンメル男爵の体内からサイオキシン麻薬の成分が検出された。
📌サイオキシン麻薬の効果
・幻覚を見せる
・凶暴性を発露
・暗示にかかりやすくなる
この『キュンメル事件』により、帝国軍と地球教との間に決定的な反目が生じた。
💡7月10日
帝国は地球教本部のある惑星地球への出兵を決意。
その日はちょうどユリアンが地球に降り立った日であった。
#186 市民ユリアン・ミンツ 地球 聖地
💡地球教オーディン支部にて
キュンメル邸事件の終結と同時に、憲兵隊は支部を急襲していた(※こちらは裸足ではない)
武装した教徒たちが憲兵たちに激しく抵抗し、190名中の3/4は死亡する壮絶な戦場となった。
💡7月10日ノイエサンスーシにて
御前会議にて、ケスラーが一連の事件をラインハルトに報告する。
ラインハルト:『キュンメル男爵の罪は問わぬ。主犯はあくまで地球教だ』
ヒルダと父マリーンドルフ伯爵がおそらく自宅で謹慎している。
その様子のコマに『↑今度は親子そろって謹慎中』との注釈が。
つづいて、小男が立ち上がり説明を開始する。
彼は内国安全保障局(秘密警察)局長の
ハイドリッヒ・ラングだ。久々に以下略。
ラングいわく、
彼は生き残った『地球教オーディン支部最高責任者ゴドウィン大司教』にオーベルシュタインの許しを得て、大量の自白剤を使用したという(👉自白剤つかったんかい、とドン引きのケスラー)。
その結果・ゴドウィン大司教の遺した言葉は、
『母なる地球がふたたび宇宙の中心となること…そのためには帝国と同盟は争い続け疲弊せねばならない』
地球教には帝国に明らかに敵対の意思があると確信したラインハルトは出兵を決意する。
するとビッテンフェルトが自分に行かせて‼️とすごい剣幕で息巻く。
いやいや、こんなことで黒色槍騎兵を動かすのか?控えよと言われ、肩を落とすビッテンフェルト。
ラインハルトは、神々の黄昏でヤンにボロボロにされてしまったワーレンを指名。活躍の機会を与えた。
『麾下の艦隊をひきいて太陽系におもむき、地球教団の本拠を制圧せよ❗️』
ワーレン艦隊はオーディンをたち、地球へ向かっていった。
💡惑星地球にて
親不孝号は無事に地球へ着陸(地味な場所へ隠れるように)。
ユリアンたち4人は徒歩で地球教団まで向かっていた。
周囲には、同じように教団へ向かう地球教信徒がたくさんいる。
ユリアン達は怪しまれないようにと巡礼着を着用している。
💡地球教団の建造物について解説
教団の入り口は深い谷底にある。
900年前に『地球軍』によって作られた地下シェルターを改装し、再利用したものである。
900年前…地球軍VS反地球連合による壮絶な戦争があり、地球は焦土と化したのだそうな。結果、地球軍の負け。この地下シェルターも反地球連盟により水責めにあい、全滅したとのこと。
入り口では、今までなかったはずの『身分チェック』が実施されている。
検問の信徒が『ボリス達がフェザーン人』とわかり対応を悩んでいると、
ボリスはすかさず銀塊(金ではない理由は🤔?)を喜捨仏として差し出す。
こうして無事に地球教団の内部に入ったユリアン達。
中には行ってみると、フロントにある巨大な『アストロリウム(本格的な惑星のジオラマ)』が目に入った。地球教のご神体的存在らしい。
ボリス曰く500年モノということで、地球教団の歴史は長いのか
地球を模した巨大なアストロリウムを中心にして、太陽・月などの惑星が回っている。
ユリアン:『つまり天動説…地球が宇宙の中心なんだ』
ここまでユリアン達を連れてきたボリスは、これから地球をめぐって商売をしてくるという。
ボリス:『帰るときは電話くれよ❗️』
💡地球教団での滞在が開始
ユリアン達はしばらくの間・泊まり込み、祈ったり説法を聞いたりして過ごす予定だ(ポプラン耐えられるのか?)
3人は、宿泊する部屋を別々に離された(伏線)
さて。
聖地に滞在している間は信徒たちは『自発的奉仕』と称する労働(清掃・農作物の世話)をする必要がある(ポプラン耐えられるのか?)
信徒たちの行動はずっと監視カメラで見られている。
ユリアンは清掃しながら、施設内部をくまなくチェック。
しかし、一般信徒が滞在する階層には重要な施設はないようだ。
重要と思われる施設は、さらに下…エレベーターの先にあるらしい。
ユリアンが勇気を出してエレベーターの監視係に『下の階を清掃したい』と声をかけると『ブロック長にならないと下にはいけない』と断られてしまう。
ユリアンはめげずに根気よく監視係に声をかけると…1週間後、下の清掃をして良いよと許可をもらえた。
下の階層へ向かうエレベーターの中で、
ユリアン:(なんか罪悪感…でも(中略)掃除もきちんとやりますので許してください❗️)(まじめ✨)
ついた階層は、高位の司教クラスが存在していた。大司教の部屋はさらに下の階層にあるらしい。
ユリアンは、一番興味のある『資料室』を発見したが、さすがに近寄ることができそうにない。
(ユリアン曰く地球教はここ10年で信徒の数が爆増しているそうな)
すると、急に周囲がザワつくと、
大総主教が登場した。
ユリアンの目の前を不気味に通過していき、
彼は廊下を通り、謁見室に入って行った。
💡謁見室にて
部下からキュンメル男爵の顛末の報告を受ける総大主教。
とある主教:『ド・ヴィリエ大司教よ。いささか性急にことを運んだのでは?あの皇帝は必ずやこの地球に攻めてきますぞ』
ド・ヴィリエと呼ばれた男は不敵に微笑む。
ド・ヴィリ:『来てもらっていっこうにかまわないのでは?』
ド・ヴィリエは、本部が攻め込まれれば逆に信徒の信仰心が高まるから良いのでは…と不気味に微笑んでいる。
💡地球教団の食堂にて
広い食堂だが、マシュンゴを目印にして3人が集合している。
お互いに現状を報告しあっていると、急に1人の信者が怪力をふるい暴れ出した。
憲兵的な信徒が駆けつけてテーザー銃を放ち、信徒を拘束した。
ポプラン:『畜生そうだったのか…おれとしたことが今まで気づかなかったとは』
ポプランはユリアン達をトイレに連れ出し、今すぐ食べたものを吐き出せと言い出した。
『毒が入ってた⁉️』と驚くユリアンに、
ポプ:『サイオキシン麻薬…いま食堂で男が暴れたのはその拒否反応だ』
ユリ:『ぼくらもう10日間も食べちゃいましたよ❗️』
ポプ:『あぁ立派なヤク中さ』
📌ユリアンの考察
地球教団は幻覚症状の出ないギリギリの量を信徒に与えている。やがて薬物依存となり、教団から抜け出せなくなる…
ポプ:『水も飲むなよ、入っている可能性がある』
トイレの外で、教団員がユリアン達を監視している…。
さて・その頃、太陽系の外縁までワーレン艦隊が迫っているのであった。
22巻のかっこん感想
今回は帝国VS同盟の戦争がついに終結し、ヤンとラインハルトが初対面&正式に皇帝の座についた…という記念すべき巻でした。
ラインハルトが自重して、言いたいこともグッとこらえる場面が多く感じましたよね。皇帝のうつわになったよ、と描写が丁寧にされてます。
📌今回特筆すべきはキュンメル事件。
自分の存在をアピールするために、悪くてもよいから…という事件は過去にありましたよね。すぐに思い浮かぶのは、全日空61便ハイジャック事件とか。
死ぬほど大切な『ジークの遺髪入りのロケット』を他人にさわらせたくない…というラインハルトの気持ちは、読者にとって、『痛いほど』を通り越して激痛で理解できますよね。
📌ボリス・コーネフがイケメンの理由
ボリスがなぜあんなにイケメンなのかと思っていたら、商人ver.とのギャップを狙ってたんですねェ!!😂 妖怪になっちゃう(笑)
メルカッツも順調にキャラ変していっているので今後楽しみです…(➡でもメルカッツの人格を崩しきっていないところに藤崎先生のメルカッツに対する敬意を感じます、かっこんは)
…ということで、今回は以上です。
次巻23巻『地球教団壊滅編』でお会いしましょう😃