『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』は、2015年4月18日に公開された『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第23作目。wikipedia
2016/4/1に地上波で初放送されました。わたくし、ものすごく興味がありまして楽しみにしておりました。期待を裏切らず、とっても面白かったので感想を。肝心な部分はボカすつもりですが、基本はネタバレしてますりん★
あらすじ
父・ひろしは、メキシコの町に生息するさぼてんの実を集めるため、転勤を命じられる。
一家そろっての引っ越しを決意した『みさえ』や『しんのすけ』たち。
春日部のみんなと涙なみだのお別れ。そして辿り着いた町の名前は「マダクエルヨバカ」
個性いっぱいのお隣さんたちに囲まれて、楽しい毎日がスタートするはずが…
待ち受けていたのは人喰いキラーサボテンだった~!しんのすけとメキシコのご近所さんたちは、この絶体絶命の大ピンチを乗り越えられるのか?!
町の平和は、しんのすけに託される!
世界観が秀逸でした
基本的に、王道ホラー・パニックなストーリーです。
ですが、ちゃんと『子供向け』に適度に怖く・適度に明るい…そのメリハリがとってもお上手で、ビックリしてしまいました!
怖い要素…『キラーサボテン』は音がする方向へ集まり、なんでもかんでも捕食して、母体に栄養素を届ける…なので、基本的にずっと『コソコソと隠れ&音をださないで行動する』必要があります。このスリルがホラー要素。
明るい要素…深刻な場面で『しんのすけ』がギャグを入れてくれるので、場がなごむ(なごんでるか?)。…と同時に、とても印象的なのが、背景や人物のカラー設定がとてもカラフルで妙な悲壮感が無いのです。
ですので『妖怪ウォッチの映画・ぬらりひょんの第2形態で泣いていた』4歳の我が息子。今回のクレしんの映画で『怖がるかな?』とちょっと心配でしたが『志村~うしろ~~~!!』的な、ドキドキハラハラな楽しみ方をしておりました。
ほかの映画との違い
わたくし全作品を観ているわけではないので、断言してはいけませんが…
毎回、クレしんの映画って『パラレルワールド』ですよね。いつもの日常とは異次元の世界に入ってしまった!というような。ロボットが巨大化したり、マッドサイエンティストが暴走したり。
ところが、今回は『とあるメキシコの辺境の町』。閉ざされた町、というのが妙なリアリティがあるんです(笑)…ご丁寧に、解説君として池上サンがいらっしゃるのがまた、妙な説得力がありましたよね。アレはご本人に了解をとらなければならないレベルでしょうね。さすがに、ご本人吹き替えというわけにはいかなんだか…ッ!
思いつくままに感想
急遽メキシコに転勤になる…と、みさえに言い出せなかったヒロシ。家族を残し、単身メキシコに赴任する決意をしていたようですが、みさえは『ナニ言ってンの?家族全員で!』と。単身赴任を思い切り否定する内容のシーンでしたが。。。このシーンを見て、切なくなるご家族もいらっしゃるだろうなぁ…と思いました。(決断はご家庭それぞれですよね)
春日部から野原一家が離れるシーン。主要サブキャラ達が総出で野原一家を見送ります。そこには風間くんだけ居ない。最後の最後で、風間くんが泣きながら電車を追いかけてくるシーン。しんのすけが超絶珍しく泣いてました。やはりトオルちゃんとは特別な関係なんだなぁ。
いま、WIKIで知りましたが…園長先生の声優さん・納谷六朗さんが映画前に亡くなられていました。今回の映画では、生前の声を使用されていらっしゃるとのこと。…そっか…そう思いながらもう一度観てみよう。ナナコおねぃさんは代替わりされていらっしゃるそうで。
メキシコに着くや否や、
カロリーナ先生が美人過ぎて、ナナコおねぃさんがソッコーで霞むというギャグ。作中では終始、先生の胸ばっかり見てしまうというワナ。見るなって言われてもありゃムリだ。
ウガ・アーナ…って宇賀ちゃんも出てたのですね。
マリアッチ(ギターのオジさん)、後半・突然のキャラ変に爆笑しました。それいりますぅ!?(笑)
保安官のモデルは大泉さんか?…いかにも『湯浅政明』氏っぽい味のあるキャラでしたよね!(四畳半神話体系大好きなんです★)
町長のキャラも、奥行きがありましたよね。時間をかけて丁寧に人柄を描写して、うまくラストに繋いでいました。映画レビューで『町長がウザイ』と見かけますが、ウザく感じるほどに脚本が上手ってことじゃないですかね。
今回はみさえタンが良かった
町の人間は保守的で、逃げる・立ち向かうことに積極的ではない…
現状を打破するため、ヒロシが何かと『オレが身代わりになる』と言い出します。その際に、みさえが低く強い口調で『…ダメよ!』
そうだよね、みさえタン。…ヒロシに何かあって・赤ちゃんと園児を残されて、どうすればよいんだよね。
★『しんのすけ』とはぐれてしまって、当時・一緒に居たレスラーに『しんちゃんとはぐれた場所まで案内して』とお願いしたシーンで。
臆病者のレスラーに断られた際に『もういいわよ、バカッッ!!』とみさえタンはブチ切れ、ヒロシにたしなめられましたよね。
分かりますよ!!…わたしも全くおんなじリアクションするだろうなぁ、と思いました。主人もおんなじリアクションをするだろうなぁ、落ち着けよと。
さらに、『しんのすけ』が夕方になっても見つからない。
今から探しに行くというみさえ。『明日、明るくなってから探そう』と提案されますが、どうしても今すぐに行く!!と錯乱します。
そりゃ、そうですよね!?、私だってそうしますよ!暗いからこそ、探さなきゃ!って思いますよね!
いつも映画ではヒロシの人柄にスポットが当たって評価されていますが…今回の映画は、みさえの母親ポジションのリアリティ描写が大好きです。
恒例ヒロシの魅せ場
家族とご近所さまはオレが守る!!…ご近所さまも守ってくれるんだ!と感動しちゃいました。野原家の隣に住むとこんな特典が(^_^)
ヒロシが大ピンチになったときに『人生ぇぇぇ!!!』と叫んで特攻していたのが印象的でした。映画では毎回、ヒロシ決死隊ですね。
ラストの清々しさが、また良い
序盤で、果敢にもサボテンに抵抗した人間から無残に捕食されていきました。
結局、野原家と一緒に生き残ったのは、弱虫な人物ばかり。
ところが…サボテンから逃げることしか考えていなかった登場人物が『このままじゃダメだ』と戦う決意をします。
ヒロシ・みさえは、序盤では『一刻も早く逃げ出すこと』だけで行動します。が、『私達だけが助かれば良い』という考え方をやめます。
朝日が昇り…全員で前に進んでいくシーン。あんなに逃げ隠れしていた人たちが、こんなに堂々と…!と胸熱でした。
みさえが、『しんのすけが自分から離れて行動する』ことを認めたところにグッときました。意志を持って行動する我が子を止めない、というみさえの覚悟ですよね。
巨大サボテンをどう倒したのか…は、伏せておきます。
ただ、最後まで手を抜いている場面が全くなく『ひゃーーーー!!(@_@;)』と声をあげてしまうシーンの連続です。ハナシの筋は古典的なんですが、見せ方がうまい。
最後の最後のシーン、日常が戻るのはやっぱりトオルちゃんで。あのそっけないラストも良かった…。
この映画を見ようかどうしようか?お子さんに見せるかどうか?、悩んでいらっしゃる方、おもしろい映画でした。おすすめです。